関節リウマチの豆知識

以前は、関節リウマチにかかると、まずはとにかく安静にすべきであると考えられていました。しかし、「痛いから」と言って、全く体を動かさないでいると、関節が動かしにくくなり、徐々に全身の筋肉が衰えていき、最終的には、寝たきりの状態になってしまうおそれもあります。そのため、最近では、関節の可動域をできるだけ保ち、筋力の低下を防ぐための、運動療法が有効であることが認められています。

 

関節の運動では、やや痛みを感じるところまでは我慢して、曲げ伸ばしすることが必要です。痛くない範囲だけで行なっていると、結局は、関節の可動域を狭めることになってしまいます。毎日、朝夕の2回くらいは、腕や足の関節を動かすようにしてください。ただし、翌日まで疲れが残るような運動は、やり過ぎです。運動後、1時間ほど安静にしていると、痛みが軽くなるという程度が適当でしょう。

 

骨は、運動による負荷をかけないと、カルシウム分が抜けて、もろくなっていくという性質があります。関節も、動かさずにいると、関節液から軟骨への栄養が行き渡らず、骨の破壊をますます進めてしまうことにもなりかねません。

 

あまり負荷をかけられない、痛みの強い関節リウマチ患者さんの場合、温水プールなどを利用した運動方法もおすすめです。水中では、浮力が働くため、体重が軽くなり、陸上に比べて、関節への負荷が軽くなります。陸上では、動かせなかった部分も、水中では動かせるようになり、血液の流れもよくなるという効果もあります。水中運動によって、関節の周りの筋力も、少しずつ強化されていきます。

 

しかし、患者さんの病状によっては、必ずしも水中運動が良い場合ばかりではありません。運動を行なう前に、お医者さんと相談することが必要です。

関節リウマチの患者さんは、女性の、しかも、30〜50代に多いこともあって、妊娠や出産への影響に悩む人も多いようです。しかし、この病気を発症して、治療を受けている患者さんでも、お医者さんの指示をきちんと守れば、妊娠・出産に問題はないと考えられています。

 

一般的な妊娠の条件としては、病状が安定していること、腎臓や心臓など、内臓に重大な病変がないこと、副作用の考えられる薬を中止することなどが挙げられます。妊娠を希望する場合には、胎児への影響(奇形など)を避けるために、原則として、リウマトレックス、イムラン等の抗リウマチ剤は使用できないことになっています。プレドニン、プレドニゾロン等のステロイド剤は、胎盤で分解されるため、抗リウマチ剤や非ステロイドの抗炎症剤に比べて、胎児に影響がないとされています。

 

そのため、妊娠に際には、ステロイド剤に切り替えて治療されることが一般的です。薬によっては、かなり早い時期から、中止しなければならないものもあります。いつ薬を変更しなければいけないのかなどのタイミングについては、早めにお医者さんに相談する必要があります。

 

妊娠中には、免疫の働きが抑制されるため、関節リウマチの症状が軽くなることがあります。
しかし、産後にさらに悪化するというケースも多く、赤ちゃんのお世話に影響してしまう可能性があります。そういう場合には、家族をはじめ、周囲の協力は欠かせません。ヘルパーを利用するのも良いと思います。

 

また、授乳期間中の服薬についても、母乳を通じて、赤ちゃんに影響が出る可能性もあります。出産後の治療方針を、お医者さんとよく相談しておくことをおすすめします。

「私の母は、リウマチを患っているけど、遺伝するのかしら?」このように、家族にリウマチの患者さんがいる人は、特に不安も大きいことと思います。そうでなくても、今や、全国で、リウマチは、70万人を超える患者さんがいるという病気です。自分が関節リウマチにかかりやすいのかどうか、気になる人は多いと思います。

 

関節リウマチの原因としては、免疫の異常があげられます。関節リウマチの患者さんには、DR4という、たんぱく質で作られた、HLAという遺伝子を持つ人が、健康な人に比べて多いことが分かっています。そして、このHLA‐DR4遺伝子が、免疫システムに異常を起こすのではないかと考えられています。

 

「遺伝子」レベルでの原因も確認されたとなると、ますます、関節リウマチは、遺伝する病気ではないかと、心配になってしまう人もいるでしょう。たしかに、一卵性双生児(同じ遺伝子を持つ)が、どちらも関節リウマチになる確率は、二卵性双生児(異なる遺伝子を持つ)より高いことが知られています。

 

また、関節リウマチ患者が、特に多い家系も存在します。関節リウマチの発病には、遺伝因子がかかわっていることは、否定できないことです。しかし、遺伝的要因を持っている人でも、それだけで発病するわけではありません。ウィルス感染やストレス、出産など、何らかの環境因子が加わって発病するものですから、必ずしも、遺伝が発病の決定的要因とは言い切れません。実際に、健康な人でも、HLA‐DR4遺伝子を持っている人もいます。逆に、親から正常な遺伝子を受け継いでも、ウィルス感染などで、遺伝子が傷つけられ、関節リウマチになるというケースもあります。

慢性関節リウマチとは、全身の関節に炎症が生じ、痛むということが、最もつらい病気です。また、肺、腎臓、胃、皮膚、神経、貧血など、さまざまな内臓に、合併症を伴いやすい病気でもあります。主な合併症と、その症状には、以下のようなものがあります。

 

●皮下結節…肘や後頭部などの皮下に、大豆ぐらいの大きさの硬いしこり(痛みはない)ができます。
●心膜症…心臓を包む膜(心膜)に炎症が起きます。
●胸膜炎…肺を包む膜(胸膜)に炎症が起きます。
●肺線維症…間質が繊維化して硬くなり、酸素交換が不十分になります。
●上強膜症…結膜が赤く充血します。
●末梢神経炎…手足がしびれる病気です。
●シェーグレン症候群…涙腺や唾液腺に炎症がおき、涙や唾液が出にくくなります。
●貧血…血液中の赤血球や血色素が減少した状態で、めまいなどを起こします。

 

リウマチ患者さんは、ほとんどの人が貧血です。それは、長い間、炎症が続くために、体の中で、赤血球をうまく作れなくなっていたり、薬の副作用による胃炎や胃潰瘍があり、少しづつ出血していたりすることが原因です。

 

また、関節リウマチの患者さんによく見られる貧血には、血液中の鉄分不足によるものだけでなく、鉄分を吸収する能力が低下するために起こるというものもあります。この場合、鉄剤を服用しても、リウマチのために、鉄分は体内でうまく利用されず、貧血が続くということが多いようです。ですから、リウマチ自体を、上手にコントロールしていくしか方法がないという場合もあるのです。

 

いずれにしても、合併症を早期に発見し、治療するために、定期的な診察と検査を受けることが重要です。

関節リウマチの診断においては、「診断基準」のチェックに加えて、触診、エックス線検査、血液検査、尿検査、関節液検査が実施されます。そして、これらの検査結果によって、体内で起きている様々な変化や、薬の副作用の有無、類似した病気との区別などを知ることが可能となります。その中の、「血液検査」におけるポイントを、以下に挙げてみます。

 

・赤沈…代謝異常や、組織の炎症があると、赤血球の沈降速度が早くなり、関節リウマチの程度や治療の効果を見ます。
・CRP…体内で炎症が起きたとき、血液中に現れる特殊なたんぱく質で、他の膠原病や感染症にかかっている場合も陽性を示します。
・白血球数…薬の副作用によって、減少したり、他の感染症や悪性関節リウマチの疑いがある場合に、増加することがあります。
・赤血球数…病気の進行に伴って、貧血症状が進むと値が減少します。
・血色素…非ステロイド抗炎症剤の副作用で、胃潰瘍、または十二指腸潰瘍による出血が起きていると値が下がります。
・リウマチ因子(RA検査)…自分自身の成分を敵と見なして、免疫異常を起こしてしまう抗体を調べます。
・血清タンパク分画…関節リウマチになると、α2グロブリン、γグロブリンの増加が見られます。
・GOTとGPT…薬の副作用で肝臓に障害が起きると数値が高くなります。
・血清クレアチニン…薬の副作用で腎臓に障害が起きると数値が上昇します。

 

上記のポイントから、検査結果の意味をしっかり理解して、自分の病状が、どのような状態なのかについて、知っておくことが重要です。

関節リウマチの患者さんのうち、全体のおよそ80%を女性が占めています。関節リウマチの患者さんは、全国で70万人と言われています。そのうちの80%ですから、女性としては、不安をあおられるような数字だと思います。

 

なぜ、女性に多く発病するのでしょうか。実は、関節リウマチに限らず、膠原病の代表格である「全身性エリテマトーデス」などを含む自己免疫疾患の多くが、男性より女性に多くみられることがわかっています。その原因については、女性ホルモン、妊娠・出産の影響が指摘されています。

 

女性ホルモンの中には、プロラクチン(乳腺刺激ホルモン)や、エストロゲン(卵胞ホルモン)など、自己免疫反応を高める働きをするものがあります。また、妊娠や出産をスムーズにするために、男性より、免疫機構が複雑になっています。例えば、妊娠中は、胎児を異物と見なさないようにするため、ステロイドホルモンの産生が増えて、免疫の働きが抑制されます。

 

妊娠期間中に、関節リウマチの症状が軽くなり、出産後に症状が悪化するという事例がよくあるのはこのためです。また、出産後に免疫の抑制が解除され、一時的に、免疫の働きが高まり、その際に、自己免疫疾患が起こりやすいとも言われています。

 

このように、女性ホルモンの性質、および、複雑に免疫機構が働く中で、自己免疫疾患が入り込むすきも多くなってしまうということが考えられます。リウマチ性疾患の中には、関節リウマチと症状のよく似た、「痛風」があります。痛風は、風が吹いても痛いと言われるほど、激痛が走る病気ですが、こちらは、圧倒的に男性に多い病気だそうです。

関節リウマチの病気を持っている方も、その地域で暮らしながら、少しでも効果的な治療を進められるよう、生活を支えるための、あらゆる福祉制度が設けられています。関節リウマチの患者さんが利用できる福祉制度としては、身体障害者を対象としたもの、高齢者を対象としたもの、難病患者を対象としたものなどがあります。

 

身体障害者を対象としたサービスを利用するためには、まず、身体障害者手帳を取得することが前提となります。身体障害者手帳の取得の手順としては、まず、居住地の役所(福祉事務所)で申請用紙を入手して、医療機関が作成した診断書などと共に、役所に提出します。 その後、障害程度(1〜6級)が認定され、1〜2ヶ月ほどで、障害者手帳の交付が受けられます。

 

また、平成18年から、障害者自立支援法が施行されました。これによって、障害福祉サービスを受けようとする人は、市町村から「障害程度区分」の認定を受けることが必要になりました。区分は、軽度の1〜重度の6区分に分かれています。利用できるサービス内容は、障害程度区分によって異なります。

 

自立支援法によって、支援の必要度合い=障害程度区分に応じた、公平なサービス提供、および、利用者本位のサービス体系への再編などが行なわれるようになりました。しかし、福祉サービスを利用した際の、食費等の実費負担や、利用したサービスの量などに応じた利用者負担(1割)が求められるため、実際には、生活がし易くなったとは必ずしも言いきれない人もいるようです。

 

負担額の上限の設定や、低所得者に対する負担軽減制度というものもあります。福祉担当窓口に相談するなどして、今あるサービスを、上手に使えるとよいと思います。

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