関節リウマチを知ろう

ほとんどの人が、「リウマチ」という言葉を耳にしたことがあると思います。しかし、「お年寄りがかかる神経痛のことかしら」と考える人も多いようで、リウマチという病気は、正しく理解されていないというのが実状のようです。たしかに、これまで、全身の関節や、関節周囲の骨、筋肉などが痛み、それらの機能に障害が起こる病気の全ては、原因が明らかでなかったために、漠然と、「リウマチ」と呼ばれてきたということがあります。

 

「リウマチ」は、正しくは、「リウマチ性疾患」という病気です。このリウマチ性疾患には、「関節リウマチ」をはじめ、「全身性エリテマトーデス」、「変形性関節症」、「痛風」など、多くの病気が含まれています。これらの「リウマチ性疾患」には、関節や関節周囲の痛みがあるという、共通の症状はありますが、その病気によって、痛みを起こす原因は、様々であることがわかってきています。

 

現在明らかになっている原因としては、「免疫の異常」、「細菌やウィルス感染」、「代謝の異常」、「外傷や加齢」、「ストレスなどの心因性」が挙げられます。「関節リウマチ」に関しては、患者さんの血液検査の結果よって、血液中からリウマトイド因子という、異常なたんぱく質が発見され、免疫の異常が原因であると考えられるようになりました。

 

ちなみに、「リウマチ」の語源は、ギリシア語の「リューマ(流れ)」です。「関節の痛みは、脳から悪い液が流れ出し、関節にたまって起こる」と、定義づけられていたことからきているようです。「リウマチ」という、全身にかかわる病いは、人類の歴史と共に、古くから長い間存在し、今も私達を悩ませているようです。

なぜ、関節リウマチが起こるのか、この病気の原因は、今のところ、完全に解明されているわけではありません。しかし、免疫システムの異常が関係していることが、明らかになってきました。

 

免疫とは、病原体などの異物(これを「抗原」といいます)が、体内に侵入してきたとき、異物を攻撃する武器(これを「抗体」といいます)を作って、異物を対外へ排除するシステムのことをいいます。この免疫システムに、何らかの異常が起きると、あらゆる病気を引き起こしやすくなってしまいます。

 

例えば、花粉症や食物アレルギーなどは、特定の花粉や食べ物の成分などに、過剰に反応してしまうという免疫システムの異常が原因の病気です。これらの免疫反応の標的は、あくまでも、体外から体内に侵入した異物です。しかし、中には、本来なら、免疫反応を起こさないはずの、自分の体を構成する成分を、異物と勘違いして、抗体を作り、自分自身を攻撃してしまうということがあるのです。

 

このような病気を、「自己免疫疾患」といい、関節リウマチは、この自己免疫疾患のひとつです。関節リウマチの患者さんの、およそ7割が、「リウマチ因子」と呼ばれる、特有の自己抗体を保持しています。そして、このリウマチ因子が、本来なら、自分の体を守るために働く免疫グロブリン(Ig)の中の、IgGという抗体に反応して、トラブルを引き起こしています。

 

ただし、このリウマチ因子は、健康な人でも持っているものです。また、逆に、リウマチ因子を持たない関節リウマチ患者さんもいます。そのため、リウマチ因子を持っていることだけが、関節リウマチを起こす原因とは言い切れません。しかし、リウマチ因子は、発病と密接な関係があり、診断において重要な要素であることは間違いありません。

自覚症状は、患者さん自身が体験して、認識している症状のことです。診断する際には、この自覚症状は、大切な要素となります。関節リウマチの患者さんは、どのような症状を体験し、異変を感じているのでしょうか。

 

まず、手の指では、第二関節(指先から2番目の関節)と第三関節(指先から3番目の関節)から腫れてくるのが、この病気の特徴です。このため、指輪が抜けなくなった、または、入らなくなったという訴えがよく聞かれます。また、物を握る、絞るという動作がしづらくなったり、物を落としやすくなったりするようです。

 

足では、左右の足の裏と、指の付け根の関節に、症状が出やすいようです。朝の起床時、立ち上がると、でこぼこ道を歩くような違和感を、足の裏に感じたり、指の付け根の関節が腫れて今まで履いていた靴が履けなくなるということがあります。また、正座ができなくなったり、長時間座っていると、足がこわばって、すぐに立ち上がれないということもあるようです。日本人では、膝から病気が始まる人の割合が多いということも言われています。

 

また、関節の症状が出る以前に、微熱が続く、食欲が出ない、からだがだるい、体重が減った、いらいらする、顔色が悪いなど、全身に漠然とした自覚症状がみられるということがあります。このような、前ぶれの症状は、ほとんどの患者さんにあるものです。しかし、後から思い当たるという程度の、軽いものが多いようです。

 

なんとなく、このような前ぶれの症状が続くうちに、気がつくと、関節のこわばりを感じるようになり、徐々に関節リウマチがその姿をあらわしてくるというケースが多いのです。

関節リウマチは、関節に慢性的な炎症が起こり、痛みや腫れが生じるという病気です。炎症が長く続くと、関節周囲の骨や軟骨などが破壊されていきます。

 

【初期】
関節を包む「滑膜」という組織に、炎症が起こることから始まります。炎症により、滑膜が増殖し、厚く腫れ上がります。関節液が大量にたまり始め、こわばりや痛み、熱感が現れ始めます。

 

【中等度】
滑膜が増殖し、軟骨を侵食していきます。関節周囲の筋肉が萎縮し始めますが、関節自体の変形は起こっていません。

 

【高度】
軟骨だけでなく、骨まで侵食・破壊された段階で、筋肉の萎縮も進みます。動きが悪くなり、関節にも変形が見られます。骨と骨が噛みあわない「脱臼」が起こることもあります。

 

【末期】
破壊が進み、骨と骨がくっついてしまいます。痛みはやわらぎますが、関節はまったく動かなくなります。

 

このように、関節の破壊・変形が進行してしまうと、その部位によっては、日常生活に不自由な面が出てきます。しかし、薬物療法を、早い段階から取り入れることによって、重症化する前に症状をやわらげられることができるという例も増えています。中でも、特効薬とされる抗リウマチ薬ですが、効き目が現れるまでに時間がかかるため、即効性のある非ステロイド抗炎症薬や、場合によっては、ステロイド薬を併用します。

 

【初期】【中等度】の段階で、薬物療法の効果があまり現れにくいという場合は、滑膜切除術や、人工関節術など、手術療法も考えられます。手術によって、リウマチ自体を完全に治すことができるわけではありません。しかし、炎症の起きた滑膜を取り除くことで、進行性をある程度の期間、沈静させることは可能となります。

ちょっとした風邪をひいたときなど、発熱に伴い、体の節々が痛むことがあるという人は、多いのではないかと思います。このように、関節の痛みというのは、珍しい病気ではありません。そして、やはりまず気になるのは、「関節リウマチ」ではないでしょうか。

 

関節リウマチの場合、異変は、手指などの、比較的小さな関節から始まります。最初は、じっとしていれば、激しい痛みはありません。荷物を持つ、関節を動かす、ねじるなどの動作をしたとき、漠然とした痛みを感じようになります。押したり圧迫した時に感じる痛み=圧痛があるのも特徴的で、熱感を伴うこともあります。

 

初期の段階では、どちらかというと、痛みよりは、「はれ」や「朝のこわばり」が目立つことが多いです。左右両方の関節に、左右対称にあらわれます。なぜ朝に、関節がこわばるのかというと、それは、炎症によって、眠っている間に体液がたまり、むくむためであると考えられています。

 

はじめは、なんとなく動かしづらいのですが、しばらく動かしていると、体液が移動するため、徐々にこわばりが治まり、楽に動かせるようになってきます。また、長い時間、椅子に座ったままでいるなど、関節を動かさずに過ごした後にも、同じような痛みがあることがあります。関節リウマチの場合、朝のこわばりが、1時間以上、長い時間続くことが多いです。

 

関節リウマチの痛みやはれは、常に持続してあるわけではなく、良くなったり、悪くなったりを繰り返しながら、じわじわと進行していきます。「今は痛くないが、以前はあった」というような場合、そのことも、お医者さんに伝えるようにしてください。

関節の痛みを伴う病気としては、関節リウマチに限らず、さまざまなものがあります。そのため、関節リウマチを診断するには、以下のような基準が設けられています。(アメリカリウマチ学会による)

 

●起床時に関節のこわばりがある
●3箇所以上の関節に腫れがある
●手首や手指の関節が腫れている
●関節の腫れが左右対称にみられる
●手のエックス線検査で異常がみられる
●皮下にしこりがある
●リウマトイド因子が陽性である

 

以上のうち、症状に照らし合わせて、4項目以上が該当する場合、関節リウマチと診断されます。上記の、リウマトイド因子が陽性ということは、つまり、血液検査によるリウマチ反応が陽性ということになります。「リウマチ反応が出た」という言葉に敏感になってしまう人もいるかと思いますが、健康な人や、関節リウマチ以外の病気を持った人に、陽性反応が出ることもあります。

 

逆に、関節リウマチ患者の中でも、10パーセント程の人は、陽性にはならないこともあります。リウマチ反応が陽性でも、即「リウマチである」というわけではないのです。診断の際、大事なことは、自覚される症状です。朝起きた時、手を広げようとしたらこわばった、肘の外側や後頭部、膝の前部などの皮膚の下に、痛みのない小さなしこりがあるなど、具体的な症状です。上記7項目のうち、血液検査やエックス線検査結果以外の症状は、ご家庭で、自分でチェックすることができますので、思い当たる症状があれば、受診の際、お医者さんに伝えるようにしてください。

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